昔語り・自分語り その5

木更津キャッツアイからの岡田君ファンなわけですが、岡田君を好きになって観察をはじめてみたら当然のようにV6に魅了されてしまいました。というか、たぶんV6の中にいる岡田君がわたしの一番好きな岡田君ではあるんですよね。で、V6のことを好きになってみれば、そのことでいろいろと世界が広がりました。いや、お茶の間で観察してるだけだったから(映画は観に行きましたが)、それで知り合いが増えるとか行動範囲が広がるということはなかったけど、価値観がすこし変わったと思う。


まず、アイドルってなんて過酷な職業なのかなあと目から鱗が落ちる思いがした。芸を売るのも勿論だけど、アイドルってそれ以上に、そのひと本人の魅力とかフェロモンとかオーラとか、かたちでないもの、本人の努力では動かすのがとても難しいもの を基準にして、大勢のひとに自分の価値をはかられることをおおっぴらに許している職業でしょう?しかも多くのアイドルの場合、売っているのは成長過程の一番難しい「とき」そのもので、その大切な「とき」とか「個人」をファンやそれ以外のひとによって蹂躙されることを許し、だけどそのことがたくさんのひとに癒しとか元気を与えるわけだから、こんなにも過酷で徳の高いお仕事ってないなあと思った。(だからアイドルのひとたちにはできるだけ幸せでいてほしいなと、すごく思う)
アイドルを長く続けていくことなんて(しかも40過ぎてまで)、頭のいい人にしかできないなあと思う。うーん、「頭がいい」って表現だと、ちょっと違っているかもしれないけど。


それから、それまで普通にジャニーズに偏見を持っていたけれども、V6をはじめとして実力のあるタレントを数多く擁している事務所なんだなと気づきました。大きくて権力があるらしいから見ていていろいろ難しいなと思う点も多いけれど、でも確実に、実力のあるタレントさんがたくさん所属している事務所なんだなあと。


あと、踊る ということが、いかに芸能にとって大事な鍛錬であるかということ。すべてのタレントさんは身体を使ったパフォーマーであるわけで、そういうひとたちにとって、本職のダンサーならずとも踊るってことがいかに重要なのかってこと。空間を把握する能力、自分の身体を動かし客観的に把握し、しかもそれを魅力的に見せる能力って、お芝居の基本なんだなあってことを、すごく考えさせられるようになった。お芝居って顔の表情や台詞の抑揚でなりたつものじゃないんだなあ、だから踊ることってお芝居の鍛錬にとっても一番の基本なのかもしれないなって。お芝居だけじゃなく、バラエティにおいても、見せるってこと全般においてですよね。もっといえば、心と身体は繋がっているものだから、身体を律する客観性を身につけることって、全方位的に有効な訓練なのかもしれないですね。だからダンサーを育てることを前提としたジャニーズ事務所が実力のあるタレントさんを排出するのはとても理にかなったシステムなんだなあと。


それからそれから、これはもう少し個人的なことだけど、V6のファンになった当時は、その頃はネット上でも『J禁』…ていうのかな?そいういう小説がわりに普通にいろいろ読めて(今もそうなのかな?…ていうか、こういう話はあんまり書かないほうがいいのかな…)、読み出すと面白くて、いや面白いのを捜すのはそれなりに大変だったけど、それでもけっこうな数を読んだのです。で、わたしはそれまで腐女子的なものとか、同人誌的なノリとか、海のほうでひらかれている大きなお祭りとかにはなんの免疫もなく生きてきて、そもそもそれを理解するつもりも全くなかったのですが、でも、全ての人間関係は恋愛の延長線上にあるってこと、なんとなくしか感じていなかったことをわりに意識的に考えられるようになったのは『J禁』の小説のおかげだなあって。ここを押さえて読むと、いろいろな文学が読み解きやすくなるなって…なんか…どうだろう、この文章?大丈夫かな。
愛がなきゃなんにも成り立たないんですよね、たぶん。


さいしょは軽く小馬鹿にした気持ちで観察をはじめた岡田君だけど(ごめんなさい…)、そのアイドルとしての出自やそれまでの経歴を知るにつけ、どれだけの苦労と努力をしてきたのか、それがいかにその当時の彼に結晶として現れているかはすぐに理解できるようになり、いろいろな意味で尊敬の念を覚えた。ただそれでも、当時の岡田君はまだまだ若かったから「若いな。青いな」と思ってしまうのをどうにも止められなかったけど…。また岡田君というひとは、経験と実積のわりには、びっくりするほど「青い」を繰り返しているひとみたいに見えて、面白ろすぎでした。岡田君の努力の仕方には、私自身には「えっ、なんで?意味がわからない」というものが多かったから、だけど、自分がわからないことをわからないからって否定したりバカにしたりするのは間違っているってこと、岡田君のおかげでしみじみ実感するようになった。


そして、ちょっと風呂敷ひろげ過ぎな感もあるけど、すべての活躍しているタレントさんに、視聴者がバカにできるひとなんて誰ひとりいないんだってことも、岡田君を見てて知ったこと。見てて好き嫌いを感じてしまうのはそりゃどうしようもないことだけど、でも例えばお笑い芸人さんなんて、簡単に「おもしろくない」「テレビに出る価値ない」みたいなこと言われちゃいがちな職業だけど、でもテレビに出ているようなお笑い芸人さんで実力のない人なんてひとりもいないし、努力していない人なんて存在しないってことも、岡田君のおかげで感じることができたような気がする。アイドルとお笑い芸人さんは、わからないからって簡単に気軽に悪口を言われがちな職種な気がするもので…なんか偉そうに書いちゃった。


あと、これはつけたしだけど、例えばもし、普段の生活で森田君みたいにかっこよくてヤンキー臭がぷんぷんするようなひとにであってしまったら、私は絶対「わ、怖い。理解不能だ」とひとこと話しかけることすらできないだろうと思うんだけど(いや、森田君ならずとも、V6のひと全て、実生活で出会っちゃったら怖いと思う…)、でもどんなひとのなかにも共感できる孤独や哀しみが住んでいるんだなってこと、森田君を見てて、すごく思う。ひとを怖がることなんてないって、教えられている気がする。


あ、あと、V6のファンになる前は、モーニング娘。に興味を持って、それ系のテキストサイト(←という言い方が全盛の時代)を継続的に読んでいたんだけど、書き手はほとんど男性なわけで、アイドルを男の人が語ると簡単に言っちゃえば「社会とモーニング娘。」みたいな俯瞰的な話になりがちなんだけど、V6ファンはほとんど女性だから、V6ファンのサイトを読むと「自分とV6」って視点がミクロなものになるんですよね。まあ、おおざっぱな分類ですが。そういうのも面白いなあと思った。




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