『とんことり』筒井頼子 作・林明子 絵

『とんことり』筒井頼子 作・林明子 絵 林明子さんの絵の魅力って、もう本当にいろいろな点が素晴らしくて、しかもそれが、だれが見てもわかる素晴らしさだってとこもまたすごいんだけど。 現実の世界から本の中にふわりと降り立ったようなリアルなこどもの…

『なかないで くま』

『なかないで くま』フランク・アッシュ 作絵 わあ…この絵本は…好きだ… 心の一番やわらかくて弱いところをきゅっとつかまれる。 よく見ると気持ち悪いくらいの細密画なんだけど、この絵がなければ成り立たない…というか、こんなにも文章と絵が、同じ場所から…

すてきな 三にんぐみ

『すてきな 三にんぐみ』トミー・アンゲラー いまえよしとも/やく 強いなあ…。三にんぐみのシーンは、ほぼ黒・青・赤・黄の、印刷の基本色(…いや、実際には青というより紺だから、基本色って書くと嘘になるんだけど)のみで表現され、ページは、だいたいに…

こだぬき6ぴき

『こだぬき6ぴき』 なかがわりえこ/なかがわそうや こだぬき6ぴきと、専業主婦のお母さん、音楽家のお父さん。 子育ての大変さと喜びが延々と描かれているお話。すきあらばとびはねはしゃぎ、いつでも自分がいちばんじゃないと気がすまないこだぬきたち。…

ひみつのひきだしあけた? 

読んだ本のメモ。 (主に絵本) 『ひみつのひきだしあけた?』あまんきみこ/やまわきゆりこおばあさんの身体の線がリアルの実感がこもっていながら素朴に可愛くて、やまわきゆりこさんの絵のうまさについて改めて考えさせられる。何を描いてもシンプルに可愛…

ロベール・クートラス展 松濤美術館

見てよかった。面白かった。麻布にある小さなギャラリー(オーナーが、このクートラスについて熱心に取り組んでおられる)で何度か見たことがあって、そのときは、ああ、このひとは自分の作った王国の中に密やかに暮らしているひとなんだなあと思って、とて…

「問題のあるレストラン」

「問題のあるレストラン」を、「最高の離婚」が面白かったので見ようと思ってずっと見ていたんです。で、今しがた録画してあった最終回を見終わったのですが、わ、すごい、気持ちの悪い最終回!ちょっとびっくりした。雨木社長がさいごまでどこからもどこま…

峯岸みなみちゃん

夜中にやってる、中居くんの音楽番組があるじゃないですか。音楽番組っていうか、カラオケ的な番組。寝る前にテレビをつけてなんとなくチャンネルをまわしてて、あの番組の中でAKBの子が踊っていると、つい見てしまう。峯岸みなみちゃんが、たぶん毎回出演…

「繕い裁つ人」

「繕い裁つ人」池辺葵金曜日のあさイチで中谷さんがゲストで出演してこの映画の宣伝をしていたらしい。それは、私は見ていないんだけど。友人から「原作の漫画が面白そうだったけど、知ってる?」と聞かれ、調べてみたらネットで1巻だけ無料で公開していた…

東京都庭園美術館

「アーキテクツ/1933/Shirokane」展 + 「内藤礼 信の感情」展改修されてリニューアルオープンした庭園美術館を「建築」という観点から見せながら、同時にその同じ空間で、内藤礼さんによるインスタレーション「信の感情」展が開かれていました。建物のあち…

バカリズム×森山直太朗

SWITCHインタビュー 達人達 「バカリズム×森山直太朗」 ああ、これはすごく面白かった。教えていただいて見た番組ですが、見られてよかった。枡野さんの創作についての話はすごく面白かったんだけど、でもそれとは別に印象に残ったのは、話しているとき、ど…

映画『プレステージ』

『プレステージ』の続き。たまたま迷い込んでこの文章を読んでしまう方もいらっしゃるかもしれないので念のためさいしょに書きますが、たぶん、かなりネタばれしてます。 魂を売ってしまうほどなにかに魅入られることに一抹のあこがれはあるけれども、でも実…

映画『プレステージ』

クリストファー・ノーラン監督。憎悪と嫉妬がからまった奇術師二人のお話。ああ、これはすごい。壮絶。さいしょはちょっとぼんやりした気持ちで見てしまったのです。だけど一度見終わって「あそこはどういう意味だったろう?」と見返していくうちに、単純な…

立原正秋『冬の旅』

駅前のスーパーで古本市が開かれていて、なにも買うつもりなく通り過ぎたのに、遠目からなんとなく青い表紙が目にとまったので戻って買ってしまいました。あと題名が好きだと思ったので。50円。面白かった。愛憎と生きてゆくことの孤独、それらについての因…

高倉健

いろいろなことに一段落ついて晴れ晴れとした気持ち。駅ビルのカルディコーヒーで「コーヒーを選んで買う」という行為にときめく。ダイエーに入って通りすがりの台所用品なんかを見ていてもウィンドウショッピングの気分で楽しい。赤ちゃんを産んだばかりの…

トーべ・ヤンソン展

横浜での打ち合わせの帰りに「今日行かないと結局行き逃すかも」との危機感に急に襲われて「トーベ・ヤンソン展」に行ってきました。すごくよかった!素晴しかった。これはメモしておかなきゃと久しぶりにブログを開いてみました。 ムーミンは子供の頃に読ん…

怒った顔

BSで放送されてた(のを何ヶ月か前に録画してあった)『リトルダンサー』を見ました。主演のジェイミー・ベルは、こりゃまあ美少年だなあ!とびっくりしました。公開当時に映画館で見ているのですが、そのときはダンスも含めてとても魅力的な子だなあとは思…

「THIS IS IT」

お盆だったので、あれこれちまちまと忙しかったです。お寺の用事があったり急な来客があったり。通常営業で仕事を普段通りすすめるつもりだったのだけれど、なかなか思うようにいかず疲れてしまうのでここは思い切って気分転換をと、夜は働かずに撮り溜めて…

アル・パチーノ

ところで友達にジェレミー・ブレットのことを話していたら、「ああ、岡田君に似てるよね。だから好きなんだね」と言われました。そうかな。似てるかな?ピンとこないけど。 先日アル・パチーノの『狼たちの午後』を見たのですが、若い頃のアル・パチーノは若…

ボスコム渓谷

毎週放送されている『シャーロック・ホームズの冒険』ハイビジョン・リマスター版の先週の放送は「ボスコム渓谷の惨劇」で、今週…というか今夜は「ソア橋」です。どちらも好きな作品で、第6シリーズまである中の第5シリーズの作品です。 ジェレミー・ブレ…

まだらの紐

グラナダ版のシャーロック・ホームズは、シドニー・パジェットの絵をも、また、ドイルの原作と同じように「原作」として大事に扱っていたそうで、わたし程度のゆるいファンが見ても「ああ!パジェットの絵と同じ構図だ」とか「この登場人物、パジェットの絵…

シドニー・パジェット

こどもの頃、ホームズ本の挿絵(昭和の時代に日本人が描いたもの)に「ホームズのビジュアルのイメージはこんな感じじゃない…」といつも不満をかかえていたものですが、中学生になってからだったか、シドニー・パジェットが描いたホームズ像を初めて図書館で…

表現者にとってしあわせなこと

シャーロック・ホームズを演じる以前のジェレミー・ブレットがイギリス国内でどういう評価を受けていた俳優だったのか私には想像しかねるんだけど、簡単に調べる限りでは、若い頃には世界的に有名な映画に大きな役で出演しているし、それ以降もテレビや映画…

『シャーロック』シーズン3まで観て

そんなわけで『シャーロック』は非常に芯をくった人物表現をしているなあと思う一方で、芯をくってしまっているがために、いろんなことが曖昧な原作と微妙に変わってきてしまっていることもあって、「原作に沿った表現」という意味ではちょっとやりすぎな気…

ワトスン つづき

子供の頃から何度も周期的に読み返している小説って、シャーロック・ホームズだけなんですが、いや、別に、すごく夢中になって読んでいるとか、好きで好きでやめられないとか、そういうことじゃなく……小学生の頃読んでいた子供向けに書かれたホームズが好き…

ワトスン

グラナダ(ジェレミー・ブレット)版シャーロック・ホームズの冒険は、原作に忠実な映像を目指して作られ、実際その通りに出来上がり、原作通りという意味ではおそらく今後これ以上のホームズは出来ないだろう、最高のホームズと言われているそうです。 確か…

美しいと思うこと

シャーロック・ホームズを演じるジェレミー・ブレットの何がいいのかなんて話は30年前にイギリスで放送が始まって以来(84年に始まったそうなので、ちょうど30年ですね)世界中至る所で散々、かつディープに語られてきたことだろうから、改めて触れるのもお…

ジェレミー・ブレットのホームズというと露口茂さんの日本語吹き替えがとても好評で、私もずっと吹き替えで見ていたのだけれども、このたびの空前のグラナダ版シャーロック・ホームズ(ジェレミー・ブレット)ブームにあたって英語版に親しむようになったと…

バルテュス

バルテュス展見てきました。22日までということで、今行っても混んでるだろうし仕事も押しているしなあ…とだいぶ迷ったんだけど(それに今回の展示はなんだか妙にメディアで推されているようにも感じて、それにのせられるのも嫌な気がして行かなくてもいいか…

サブウェイ  星を賣る店

リュック・ベッソンの『サブウェイ』見た。なんの話なんだかわかったようなわからないような…なんだけど、いろいろあってさいごの「ぼくのことすこしは好き?」って台詞にたどり着くカタルシスが気持ちよくて何度か見てしまった。イザベル・アジャーニとクリ…