ジェレミー・ブレットのホームズというと露口茂さんの日本語吹き替えがとても好評で、私もずっと吹き替えで見ていたのだけれども、このたびの空前のグラナダシャーロック・ホームズ(ジェレミー・ブレット)ブームにあたって英語版に親しむようになったところ、これはやっぱり断然本人の声のほうがしっくりくるなあと。

吹き替えの声だと、わたしのなかでは、ホームズ像が格好よくなりすぎてしまう。昔から「グラナダ版ホームズは本当に素敵なんだけど、だけどちょっと、ほんのちょっと、若干、微妙になんだけど、素敵過ぎてしまっている」と感じていて、でもそのごくわずかな違和感が、本人の声で聞くと解消されるようになりました。ジェレミー・ブレットの声は吹き替えに比べるとすこし甲高く神経質で、なんだけど、この声があることで絶妙なさじ加減で「へんなひと、かわりもの」な側面が加味されて、より味わい深い魅力的なホームズ像になっていると思う。