「岸和田少年愚連隊」

この映画の中のナインティナイン矢部浩之の歩き方には、ちょっと癖がある。(いつもこんな歩き方しているっけ?)いばりくさったように胸をうしろに反りかえらせているのに、ななぜか妙に歩幅が狭くちまちまと歩くので、いばっているのかそうでもないのか、大物なのか小物なのか判断がつかないような味があって、それがこの『チュンバ』という役にはよくあって、とぼけた魅力を放っていた。
それから、テレビで見かけるたびにどこか所在なさげで存在感が薄く見える大河内奈々子を、この映画を見てはじめて可愛いと思った。可愛らしさがちょうどいい。要するに、同級生の中では間違いなくとびぬけているんだけど、芸能人になるほどの業の深さみたいなものがあまりない美人。地に足のついたしっかりもので、清潔で、前向きで、こんな可愛い子、うちの学校にもいたなあと思わせるような可愛らしさ。たぶん大河内奈々子の実際のパーソナリティーも、これに近いなにかがあるんだろうな。普通にいい子で普通にちょっと大人。きっと根っからの女優体質ではないのだ、この人は。