Whirl

忙しいので、出かける用事は全部ひとつにまとめてしまおうと、昨日は東京ー横浜間を2往復した1日でした。疲れた。


神奈川県民ホールギャラリーでは興味深いインスタレーション展をここのところ毎年秋に開いていて、ぜひそれに行きたかった。最終日だったさわひらきさんの個展『Whirl』、ほとんどなんの予備知識もなく見たのだけれども、ちょっとショックなくらい、よかった。好きだ。もっと何度も行って意味とか考えたかった。まとめる時間がないので、覚え書きとして、メモ。





木馬が揺れている(鍵穴のむこうでゆれる。バスタブの海に浮かぶ。絨毯の雪の中を歩く。ピアノの鍵盤の水際に沈む)
本を喰う虫。バスルームの湿地帯に見え隠れする象。ランプシェードのかげで綱渡りする男。


絵の中でひそやかに動く鳥、からっぽの鳥かご、かごの影の中にすっぽりとおさまる、鳥の絵と電球。豆粒のように小さな人間たちを俯瞰から眺める。


吹き荒れる風の中、海を渡る鳥は思うように前へすすめない。海は荒れて波が高いのに、鳥は同じ空を飛び、時間のすすみが狂って見える。
森。
不自然な早さで時を刻む振り子時計。
水が溢れる部屋。ぼんやりと浮かぶ満月。
薄暗闇に「帰り道」と矢印した看板がぼうっと浮かび上がる。部屋では水がひき、照明が消え暗く静か。外の景色が小さな窓の中に浮かび上がる。闇に吸い込まれてしまいそうだ。


ぐるぐるとまわる。
かすかな、小さな光。
遠い景色に浮かぶ観覧車
揺れる時計の振り子。眠たげな満月のよう。
らせん階段。
天上に吊るされたランプ。
DNAのらせん構造 地球の自転 
単なる小さな部屋のなかでの一瞬の時間のようにも
ひそやかな妄想のようにも。



ぱらぱら漫画のように本の隅に描かれた飛行機が、本と現実のはざまを飛んでゆく。



小さな箱の中に閉じ込めてしまったような。
だけど、そこは広くて、どこかへ別の世界へ繋がっている。
この世界も別の世界も、同じものではあるのだけれども。


凶暴な妄想と、
同時に、日常の手触り。ギャラリーという空間、または部屋。



生活音。たゆたうような音楽。
自分自身。