『ショナイの話』

TVをつけたらブラックマヨネーズの吉田さんが、そのときちょうど個展中だった会田誠に会いに行くところで(個展会場へ)、慌ててその場で録画ボタンを押しました。3月なかばくらいに放送された番組ですが、それを、ようやく視聴。
絵を見ながら会田誠にインタビューする吉田さんの様子を、後日、吉田さん本人とチュートリアルの徳井さんが一緒に観ながら喋っていました。徳井さんが「なんとしてでも答えが欲しい吉田と、『そんな感じでもないんだけどなあ』という会田先生との、どこまでいっても平行線な会話が面白かった」と感想を述べておられましたが、本当にまさにその通りの内容でした。


「答えがほしい」という吉田さんの欲求は「この作品の答えを知って征服したい」って征服欲なのかなと思う。負けたくないんだろうな(わからないけど)。
「この絵はこういう意味なのかなと思って見たんですけど、どうですか?」「これってこういうことですか?」と愚直なまでに質問を繰り返し、そのたびに答えをはぐらかされる(というか、もっと曖昧な感じなんですよーと言われる)吉田さんは、貪欲だし、なんていうかちょっと…下品だし、だけど自分が下品であることを隠さず臆さず、ひたすら正面突破を狙って質問を繰り返し、撃沈し、途方に暮れていた。見ていて、このひとなんだか綺麗だなあと思った。先日のAスタジオで風間俊介くんが「僕、腹の中真っ黒です。本当に黒いと黒って光るんですねえって感心されてしまうくらい黒い」と喋っていて、「洒落た言い回し!」と感動したところだったのですが、ちょうどそんな感じだなあって。吉田さんて魂が黒光りして綺麗なんだろうなあ。いや、黒光りというよりも…単にピュアなのかなあ?


会田さんの言葉、面白かった。吉田さんの質問をふわふわとかわしながら、でも吉田さんの気持ちに応えて出来る限り答えに近い気持ちを真面目に話してくれていたんじゃないだろうか。
「本当は頭の中のもののほうがよかったのに、描いてみるとアレ?って」
「絵って、日常あまり感じないような感情を感じてもらう、そういう仕掛けを作るってことがある。色々な心を刺激するものとしての役割」
「人間は複雑で、簡単に言葉で説明できない。そういうことに自分の作品を対応させたい。矛盾しないような複雑さを持たせたい。言葉にならないモヤッとしたものを作りたい」


最終的に「ここまでの、のれんに腕押しの連続、見たことがないやろ?」という吉田さんに対して、徳井さんの、「のれんは本来1枚だから、連続ってありえないからね」という念押しからの「一回目でのれんに腕押しだってわかったらやめるところを、吉田は何度もず〜っと押してるから、たまにチラチラ中が見えた」って言い回しも素敵でした。




関係ないけど、先日行った木村荘八展では同時代の画家たちの作品も飾ってあったのですが、若い頃の中川一政の絵にひきつけられました。青いガラス瓶と果物を描いた静物画でしたが、とても繊細でリリカルで。こんな柔らかい絵を描いていたのかと意外だった。