「タイガー&ドラゴン」「真夜中の弥次さん喜多さん」

タイガー&ドラゴン」今回は最初から最後まで楽しかった。岡田准一君と阿部サダヲがどんどん兄弟らしくなってゆく・・・すごいなあ。そういえばふたりとも大きくて綺麗な目をしているし、顔も似ているかも・・・という気持にすらなってくるよ。
今回、借金のとりたて相手を逃がしてしまい落ち込む銀次郎に向かって、虎児が「自分のスタイルでやればいい」と言葉をかけるけど。でもそれって、たぶん一番難しいことだよね。虎児と銀次郎にとって、落語やヤクザは商売だもの。趣味ならともかく、職業として自分のスタイルをつらぬいてやっていくことこそが、凡人にとっては難しいんじゃないのかなあ。このドラマの中では竜二が落語の天才という設定になっているけど、最初から自分のスタイルで、しかも説得力のある話ぶりで御贔屓の客までいる虎児こそが、落語の天才っぽい。しかも彼は、やくざになることしかできなかった自分と、落語を身につけてゆくことで戦っているのだ。それはつまり、常に真剣勝負だということだ。かつてその不幸な生い立ちのためにやくざにしかなれなかったのと同じように、今は落語をすることによってしか自分を変える術を持っていない。凡人にとってはその追い込まれた状況こそが、羨ましいことのような気がする。
対する竜二は、名人である林家亭どん兵衛の息子に生まれ、落語の才能に恵まれ、上達も驚異的に早かったのだろうが、でもそれ故に、彼は落語を続けていく理由を、虎児のようには持っていなかったのだろうし、おそらくそういう中途半端な自分が嫌でもあったのだろう。落語から逃げ出したのは、自分からの逃避でもある。私が竜二だったら、虎児にものすごい嫉妬を覚えるだろうし、劣等感も抱くだろう。ここ数回はメグミの尻をおいかけてふらふらしてばかりいる竜二の薄っぺらさは、なんていうか、とても凡庸で、「落語の天才」と言われるだけの才能を持っている(と視聴している側が知っている)だけに、見ていてとても切なくもある。
この虎児と竜二の構図は、演じている長瀬君と岡田君にも、なんとなく当てはめて見てしまって、つくづくよく出来た配役だなあと思うんだよなあ。
とにかく、凡人である私は、どちらかといえば竜二に感情移入してしまうんだよなあ。竜二が今後どうやって落語を自分のものとして取り戻していくのか、それがとても楽しみだ。


真夜中の弥次さん喜多さん」を見てきた。
もし万が一本当に、死ぬとみんな荒川良々になってしまうのだったとしたら・・・死にたくないなあ・・・。でも荒川良々があの役を演じることによって、この映画はずいぶんとしまったものになったよね?とYに言ったら「ええ〜、そうか〜?」と笑われた。