ヨコハマメリー

4日に映画「ヨコハマメリー」を見てきました。
ヨコハマメリーとは、横浜に実在した「メリー」と呼ばれた伝説の(米兵相手の)娼婦です。1990年代なかばに横浜から姿を消した当時は、真っ白なドレスを着て、顔を真っ白に塗った、全身真っ白な、異様な雰囲気を放ったおばあさんでした。横浜ではとても有名なひとで、いつでも関内や伊勢佐木町の近辺を歩いていたので、当時横浜に住んでいた人なら、見たことがない人のほうが少ないくらいだと思います。
私も小さい頃に、伊勢佐木町で何度かメリーさんを見かけたことがあります。有隣堂(横浜では有名な大きな本屋さん)のトイレにはいったら、洗面台の上でメリーさんが寝ているところに出くわしてしまい、ひどくびっくりしたこともありました。
映画は、そのメリーさんに関するドキュメンタリーです。
メリーさんに関する記憶がこどものときのものだったこともあり、私はメリーさんのことを、本当に伝説上の、妖精かなにかのようにとらえていたのですが、いや実際はそんなはずはなく、現実に生活をしている、ひとりの女性でした。
うーん、メリーさんの人生について思ったことをまとめるのはとても難しいのだけれど・・・ただ、映画を見て思い出したのは、リリー・フランキーの言葉です。
「なんでも知ってるつもりでも、ほんとうは知らないことが、たくさんあるんだよ。」
つい、自分の知っている、自分の常識の中でものごとを測ってしまいがちだけど、世界には私の知らない、想像を絶するような生き方をしているひとたちがたくさんいる。
自分の知らないことや理解できないことは無いモノと決めこんで、自分の考えていることだけを正しいと思ってしまうことは、とても怖いことです。
メリーさんの生き方は、今の私の常識から考えたら、それこそ想像を絶するものです。実際にそばにいたら、メリーさんのような人を受け入れるのは、なかなか難しいだろうと思う。
映画は、メリーさんを描こうとすることで、そんなメリーさんを排除せずに受け入れ、ともに存在することを選択した、当時の「ヨコハマ」という町の懐の深さを描きだしています。
決して楽ではなかったと思えるメリーさんの生涯ですが、さいごに映るメリーさんの笑顔は、(パンフレットで誰かが書いていましたが)本当に天使のように可愛らしいものです。それは、メリーさんのために歌われる「マイウェイ」の歌声と共に、「ヨコハマメリー」という映画にとってのハッピーエンドのように私の目には映りました。
私は横浜に生まれ育った人間なので(町のもつ懐の深さを、自分自身はたいして継承できなかったことはとても残念ですが)、その思い入れのある自分のふるさとを、こんなふうな映画として鑑賞することができて、とても嬉しく思いました。



宗佐さんをもう一度見に行きたくて、そのために仕事を詰めて頑張っていたんだけど、今日はどうにも具合が悪くて、外出するのを断念してしまいました。さっきまで薬を飲んで寝ていて、いまはだいぶラクになりました。あの映画の中の、美しい四季の移り変わりを、大画面でもう一度見ることができなくてとても残念です・・・・早くDVDが出ないかなあ・・・。