ゲド戦記

やっとゲド戦記を見て来ました。
とても現代的な問題を抱えた、怖い映画だなと思いながら見ました。
怖い映画は好きなのです。
というか・・・・・ゲド戦記、私はすごく好きです。
心が光と闇に引き裂かれてしまった少年アレン、アレンの闇を身体から引き離し、その意思を操る魔法使いクモ。このクモの死んでゆくさまが、たいへん醜く恐ろしいものなのですが、その怖さは、イコールこの映画の魅力でもあると思いました。
洗練はされていないんだけど・・・怖さをダイレクトに描こうとしている。だからこそ、別のシーンでの空の色、草原を渡る風、テルーの歌声、竜の可愛らしいしぐさ、などが美しく染み渡るんですよね。なんだろう・・・荒削りで、その分とても力強い作品です。
というわけで、おもしろく見たのですが、一方で、なるほど、これは数々の酷評も、しようがないかもしれないなあと思い、なにしろ映画の中でほとんど説明されることなくそのまま提示されてしまう情報があんまりにも多すぎるものだから(だからこそ荒削りなんだけど)。
見ながら整理しきれないところが多々あり、ぜひもう一度見て、咀嚼したいと思いました。
・・・そうだな、ゲド戦記の一番の感想としては、少なくとも「もう一度見たい」と思わされる映画だってことで、それってとても大事なことだと思います。

さてさて、ほとんどそれが目当てで見に行った岡田君の声ですが、私は岡田君の声がとても好きなのですが(むしろ顔よりも)、いや、本当に魅力的な声だなあと、改めて感じました。
事前に聞いていた「お前達が僕の死か」というセリフですが、映画を見る前は「なんだか哲学的なセリフ・・・?」と思っていたのですが、これは軽く想像を裏切られ、ひどく実際的な場面に使われており、そのセリフで一気に物語が私の中で『現実のもの』として語られはじめたんですよ。
アレンというキャラクターそのものについては、まあびっくりするくらいのダメな子・・・ていうか、本当の病人ですよね?あれは・・・・だと思いましたが、アレンの声は、岡田准一さんがした、俳優としての仕事の中で一番なくらいに好きかも。(・・・いや、それは言い過ぎかも)