ブルーリボン賞

たまたまチケットをいただいたので、ブルーリボン賞の授賞式を見てきました。
蒼井優ちゃん、細くて可憐だったなー。富司純子さんも壇れいさんも、本当に素敵でした。爪の先まで神経が行き渡っている感じで。
渡辺謙さんは主役のオーラをバリバリと放ってました。謙さんは、楚々として全てのパーツが繊細に出来ている女優さんたちに比べ、身体も大きいけど顔もそりゃあ大きくて、その分、うしろの席からでも表情がよく読み取れるんですよ。見る甲斐のある顔だなあと思いました。

「ゆれる」その他で助演男優賞を受賞した香川照之さんは、本当に嬉しそうでした。ブルーリボンを受賞するのは二度目なのだけれど、前回はそのことのすごさをまだわかっていなかった、前回も勿論嬉しかったけれど、今回はもっともっと嬉しい・・・と話している間も「舞い上がっているんです」と挙動不審に動き回ってらっしゃいました。(・・・舞い上がっているから・・・というよりも、もしかしたら香川さんは、平常の状態であんななのかも?という雰囲気もありました)
印象に残ったのは、監督賞を受賞して同じ壇上に登っていた西川美和さんが、「香川さんになにかお祝いの言葉を」と促されて披露してくださったエピソードです。「ゆれる」の脚本の執筆中、色々な方面からのプレッシャーを感じてしまい西川さんは相当迷走していたそうなのですが、そうやってやっとの思いでなんとか書き上げた第2稿を、香川さんは西川さんの前で机にばーんと叩きつけ「今すぐ1稿に戻せ!西川美和のいいところ、勢いのあるところが全部無くなってしまっている。もし脚本に駄目だしをするチャンスを生涯で3度だけ与えられるとしたら、僕はそのカードの1枚を、今ここで切る!脚本で言い切れないところは僕が100%演技で補うから、もっと思いきって書きなさい」と言ったのだそうです。(うろ覚えにつき、かなり意訳してますが)。
こんなことを言われたら、感動するだろうなあ・・・言わせる西川さんもすごいし、そんなことを言える香川さんも本当にすごい。そこまでの信頼に支えられて作られた「ゆれる」が、支持され高い評価を受ける作品になったということは、とてもとても幸せなことです。
「ゆれる」、見たかったのですが、時間を作ることができなくて見られなかったんだよなあ。本当に残念です。
西川さんが話している横で、香川さん、「すみません、すみません」と、そこでまた挙動不審に動き回りながらあやまっていました

授賞式のあと、作品賞を受賞した「フラガール」の上映がありました。
なるほど、こういう映画が1位として選ばれるのだなあと、いろいろ思うところありました。思っていたよりも・・・なんていうか・・・泣かせようとする意図がはっきりと伝わってくる映画だなと思いましたし、とても丁寧というか、ちょっと笑えるシーンがあると、そのあとでセリフでさりげなく「ここ笑うとこですよ」と説明が入れてあって、本当に幅広いひとたちに親しまれるよう、心を砕いて作ってある作品だと思いました。
見て元気になる映画でした。俳優さんたちが皆いきいきと炭坑町に息づいている空気があって、それがなにより良かったな。
そして、そうだ!久しぶりに見た松雪さん!彼女が本当に素敵でした!とてもハマリ役でした。何をやっても美しい。ぐしゃぐしゃに不細工な表情になって泣いていても美人だ。
蒼井優ちゃんも、蒼井優ちゃんの親友の役の子も、可愛かったなあ。そして富司純子は、なぜ、ああいった炭坑の女を演じることができるのだろう?
子どもの頃は「なぜ常磐にハワイ?」なんて、どちらかといえば笑いのネタにされていたハワイアンセンターですが、こんな歴史があったのですね。簡単に馬鹿にして笑えるものなんて世の中にはあるはずないんだ、と思ったなあ。