9係 と 冬の運動会

9係、面白かった。やはり二作目ともなると、クイタンじゃないけど、共演者同士に強いチームワークが感じられますね。その分完成度が高いように感じられたなあ。それにいずれも芸達者な方達なので、安心して楽しめる。吹越さん、かっこいいなー。
いのっちの、この浅輪くんの役は、絶妙にいいなあと思います。いのっちって、テレビドラマではいつも「いい人」な役で、またそんな役か、つまらんなー、なんて思うこともなきにしもあらずだけど、浅輪君は、いいな。いい人っぷりに無理がなくて。


冬の運動会」のつづき
靴屋で日出子と再会したときに、菊男が薄く笑っているのが好きだ、無神経で傲慢で・・・と書きましたが、ところでもう一箇所、菊男が印象的に笑うシーンがありました。
靴屋と日出子のことが両親にばれて、父親の國村さんと喧嘩をする場面です。
父親に「靴屋とも女とも、もう会うな」と頭ごなしに命令されると、菊男は返事をしない代わりに、口の端をあげ、顔に笑みのようなものを浮かべながら父親を睨むのです。このシーンの菊男の「笑っているような顔」が、とても好きです。
ドラマの中で、何度か父親と口論するシーンが出てくるのですが、それまではただ拗ねたり怒鳴ったり、ヒナが親鳥にむかってピーチク鳴く程度の反抗しか見せなかった菊男が、そのときに限って笑うのは、はじめて「守りたいもの」が自分の中にできて精神的な強さを得たということなのかなと思います。
笑うのは、相手を見下してかかるというか、相手の意見を完全にシャットアウトしようとする強い意志の現れでしょう?
ああ、なるほどなあ、ここで(非常に悪い顔をして)笑うことで、菊男の状況や心理に多少の変化が起きていることがわかるし、それになんとなく、笑うことで、普段の菊男がどんな男の子なのか、大学でも地味な子なんだろうなとか(あんなに派手な顔をしているのに)、友達とはどんなふうにつきあっているのか、菊男のキャラクターまでもが、伝わってくる気がしました。狭い世界で精一杯虚勢をはっているんだろうなあ、でも虚勢をはれるのは家の中だけなんだろうなあ・・・とか。
ここで笑うことにしたのは、岡田くんの判断なのか、もともと台本にあったことなのか、監督の指示なのか、とにかく、なんかちょっといいなあと思ったシーンでした。
ふと思ったけど、私は岡田くんが演技で、ちょっと嫌な、極悪そうな表情をしているのを見るのが好きなのかなあと思います。
たぶん、私は最初に岡田くんのファンになってしまった頃に、岡田くんの中の、「怒っている子供」のように見える部分にとても惹かれてしまったんだろうなあ・・・と、まあ私自身の個人的な話ですが、そう思います。
岡田くんって、穏やかそうな人当たりとは裏腹に、常に怒りを抱えた子供だったんじゃないかなあと私は妄想していて、その片鱗のようなものをドラマの演技の中で見てしまうと、実際の岡田くんと、役の岡田くんが根深くリンクして、クッと引寄せられてしまうんじゃないかなあ。

冬の運動会」は、ファッションも好きです。いかにも普通の男の子の服で、違和感なく着こなしている感じが可愛いです。
関係ないけど、「東京 タワー」の中で、透がペーズリー柄(!?)のようなシャツを着ているのを、母親の余さんが「それ、似合わないわよ」ととがめる場面がありましたが、あの服は本当に似合わないなあと思いました。いや、なんか、すかしちゃっててね・・・・いかにも詩史って女が着させそうな服だよ!とは思いましたが。