「殺人現場を歩く」

三宅君の舞台が決まったようですね。
昨日、「殺人現場を歩く」(ちくま文庫)という本を読んでいたのですが。
タイトル通り、計18の、世田谷一家四人殺人事件、桶川女子大生ストーカー殺人事件などの、かつて凄惨な殺人事件が起こった現場を訪ねていく内容のものです。
あとがきで、著者である蜂巣敦氏は「本書は、テキストと現場写真を融合させ、読者を可能な限り殺人事件が起こった現場へ誘うことを最大の目標とした」と書いていますが、実際その通りで、筆者の主観はできるだけ排除されており、「なぜ殺したのか」「なぜ殺されたのか」「なぜこんな事件が起こったのか」については、読み手の想像にゆだねられたまま、淡々と事件についての概要が語られます。
ありふれた風景、どこにでもありそうな、ごくごく日常の風景の中に埋もれる殺人の記憶に、読み手は置き去りにされる本なのですが。
この読後感は、三宅君主演の「14歳の国」を見たときの感じと似ていると思いました。あのお話も、教室で殺人がおこった・・・その場所に実際に連れていかれるというか、心理的に、あの教室の、あの殺人がおこる空気の中に置き去りにされるお芝居だったんだな・・・と、ちょうど改めて、三宅君のお芝居について考えていたところだったので(以前も書いたことがあるのですが、三宅君のドラマの中では、私は「14歳の国」が特に好きなのです)、昨日の「舞台が決まった」との報は、実にタイムリーだなとびっくりしました。



演技者のような番組で、ちょっとコアな三宅君のお芝居をテレビで見ることができていたのは、非常に幸せだったな。と、あの番組が無くなってしまった今となっては、しみじみと残念に思うばかりです。