見た映画

ここ1年ほど、映画館で映画を見ることから遠ざかっていて
(まあ、その前から、頻繁に見る方ではなかったんだけど)、アリエッティの前に見たのが、春にみた「実録・あべさだ(検索にひっかかるのが嫌なので、ひらがなにしました)」・・・ちょっと内容にギャップがあるのですけれども。
にっかつロマンポルノの名作だそうです。でも、ポルノ映画というよりも、普通の映画として、普通に面白かった。

あべさだ について、「いや、全く意味わかんないでしょう。なんで切る?」と思っていたけど、この映画を見て、なんていうか・・・わからないとは言いきれないと思ってしまった。
男性が製作した映画だと思うんだけれども、たぶん「女にしかわからないだろう」という女の衝動を、意味を追わず、理由付けせず、わからないものはわからないままに提示されているように感じて、この制作者の、女性への、ひいては人間全般への愛?があると感じたなあ。信頼出来る映画だと思った。

阿部定の事件をおそらくかなり史実に忠実に描いているのだと思うのですが。文字通り命をかけて愛し合ったとしても、「判り合う」なんてことは幻想にすぎないということがにじみ出るような映画だと思った。でもだからといって殺伐としているわけじゃない。希望もあるし、気持ちの上でのあたたかさもある。生きて行くことの矛盾をはらんだすべてを肯定しているんだと思う。

主演の女優さんが、綺麗だった。とにかく説得力のある裸というか、彼女の造形(顔かたち、頭の大きさ、足の短さ、手足の太さ、頭のてっぺんからつま先まで)そのものが、「こんな犯罪をおかすのも道理だ」と、見ていて納得させられてしまう危うい魅力を持っているんだなあ。今の女優さんから比べたら、多少スタイルはよくないし、なんていうか・・・垢抜けない重たさがあるんだけど、それが、阿部定という女と、彼女が生きた時代の空気を感じさせてくれるように思った。今はもう、こういう映画は、色々な意味で撮れないんだと思う。