花とアリス

作品中の女優に監督が恋をしている。

と、「初恋のきた道 」を見て思ったのですが、「花とアリス」の岩井俊二も、撮りながら蒼井優のことを好きになっちゃったんだろうなあと、映画を見ながら考えたことを思い出しました。


主演は鈴木杏蒼井優のふたりで、花を、もうどうしようもないようなキリキリとしたテンションで、でもチャーミングに演じる鈴木杏は本当にお芝居が上手で、自我をコントロールしながら演じている賢さを感じさせられて、でも結局は、アリスを演じる蒼井優がもっていってしまった・・・という印象を映画から受けました。
花という役をあんなふうに演じる鈴木杏はとても愛おしくて可愛いのだけれども(もちろん花自身も)、でもきっと私が男の子でも、いや、男の子じゃなくても、おんなとして も、花とアリスだったら、アリスに惹かれてしまうだろうな。だからどっちがいいとか悪いとか、どっちが好きだとか、どっちがどっちに比べて素敵とか素晴らしいとかそういうことじゃないのだけれども・・・いや、とはいえ、気持ちとしては「花ちゃんは・・・というよりも鈴木杏は貧乏くじをひいているような・・・」って思ったのは事実で、でも、それでも、なんていうか、いろいろなことがどうしようもないなあって感じがして、その人が持っている孤独も闇も本人にはどうしようもないことだし、その量や大きさを測って比べることができるわけでもないし、どっちが深いとか浅いとかいうことでもなくて、それでもどうしても、どちらかにより魅力を感じてしまったりして・・で、私自身は花ちゃんに感情移入してアリスに軽く嫉妬を覚えてしまったりするのだけれども・・・嫉妬っていうか、劣等感かな・・・でも、いろいろしようがない・・・それが「花とアリス」という映画のすごく素敵なところだと思うんだけれども。

ごちゃごちゃ書いた割にはちっとも説明できていませんが、要するに私は、きっと「作っているうちに、岩井俊二蒼井優に恋しちゃったんだろうな」なんて、映画を見ながら思ったものだったのでした。


なんて妄想をしてしていたのですが、でも、そもそも、「花とアリス」は、岩井俊二蒼井優の出会いの作品ではなかったのですね。「リリイ・シュシュのすべて 」が先に作られていたのだなあ。