ブラック・スワン

ブラック・スワン』を観ました。
なんていうか、もう少しバレエ映画的なものを期待して見に行ったのですが、バレエ映画というよりは、バレリーナの産みの苦しみを舞台装置として使ったホラー映画的な作品だと思いました。主人公が母親にとても支配されて怯えており、しかも母親がそれとなくセックスを憎むような発言をしていたり、その挙げ句さまざまなことが解放されて爆発?がおこる構造なんてブライアン・デ・パルマで映画化された『キャリー』と同じだなあと思うし。

一方で、たまたま最近『白鳥の湖』のお話(誰が書いたものか知らないのですが…)をじっくり読む機会があったのだけれども、読んでみて、別にそこが強調して描かれていたわけではないけれども、でも考えてみれば、人間が白鳥に変わるのだなんてかなりグロテスクな気持ち悪い話(美しい女の子の肌が突然鳥肌になり、羽が生え、首が長くなるだなんて!)だなと思った。そういう要素をクローズアップして眺めるのならば、そもそもが『白鳥の湖』ってグロテスクな話ともいえるんだなあと思う。
確かに『白鳥の湖』って、『ブラック・スワン』みたいな話なのかもしれない。『ブラック・スワン』の主人公ニナは、白鳥の運命をあらゆる意味で深く体現しているのかもしれない。彼女の最後の台詞どおり、まさに「完璧」なかたちで、彼女の『白鳥の湖』という舞台も、また同時に『ブラック・スワン』という映画も幕を降ろしたのかもしれないなと思う。