サヨナライツカ

辻仁成の原作。
ケーブルテレビの日本映画専門チャンネルで、(何日間か同じ映画を放送し続けるので)3度に分けて見ました。
自分じゃ絶対に見に行かない感じの映画だと思うんだけど、はじめの日に、おわりの40分ほどを見て興味を持って、翌日と翌々日、残りをつぎはぎで見ました。


終わりのほうだけ先に見てしまうと、もう思いっきり壮大なコントで(ザ・男の夢!)、そう思って見れば「ネタ映画」としても極上の面白さ!でも最初から見ると、これはやはり直球の恋愛映画だなと。潔いほどに、ただ恋愛だけの映画というか。感情が生々しくて。


中山美穂がとても綺麗で魅力的だった。いや、綺麗というには、やはり女優としての旬を逃してしまっているというか…正直、一線を退いてしまっている人の影がちらちらとちらつきはするのだけれど、それでもやはり、魅力的であると感じたのは、女優として腹を割ってカメラの前に立っているのだなと感じたからじゃないかなあ。単純に肌をさらすことにしてもそうだし、なんていうか、もっと気持ちとして裸になるのだという、気概を感じました。よい女優さんであったかもしれないのに、と彼女の現況をすこし残念に思いました。
石田ゆり子との対決シーンもよかった。ふたりとも綺麗で、たくましくて。やりすぎていない距離感が。


ただ、中山美穂がとても素敵だったのは、相手役の西島秀俊がとてもどっしりとして、ぶれない、リアルな存在感があったからだと思う。なんだけど、この西島秀俊は、なんだかあんまりなあ…。
この役を素敵に演じることってとても難しいと思う。男の嫌らしさ丸出しみたい役だから。西島さんのお芝居は、老けてからはともかくとして、若い頃のシーンはとても生々しい存在感があった。ここ(西島さん)に深い闇があるから、ミポリンの光の部分が綺麗に浮き出るんだと思うし、お話に普遍的な深みが出ているのだと思う…のだけれども!でもそれがかえって、「この男いやだなあ」って感じてしまう。そもそも西島さんて、大きな組織に所属して副社長にまで上り詰めるような男性には、ちょっと見えないのだよなあ。
西島さんじゃなければ、この年代の男優さんで、誰がこの東垣内という役を演じることができるのかと言われれば…思いつかない。あ、キムタク…?うん、キムタクが演じたのなら、すごくぴったりくるのかも。全然別の雰囲気の映画になっちゃいそうだけど。


さいごの詩がよかった。