今週のカーネーション

カーネーション、今週もよかった。
かつてこれほどまでに鮮やかな手際で少女時代の終わりを描いた朝ドラがあったでしょうか。(いや、朝ドラそれほど見ていないので、比べようがないわけですが)

週の前半では栗山千明の叙情的な『少女時代との別れ』に泣かされました。ああ、なつは一足先に大人になっていくのだなと思っていたら、後半に行くにしたがって糸子自身のその日も、もうすぐそこまで来ているのだと日に日に感じさせられました。親が老いていくこと、自分が責任を背負っていくこと、おとなになっていくことへの希望と切なさが、簡潔になおかつ丁寧に描写されていたけれども、でもこのエピソードが真に胸を打つものになっていたのは、父親からの視点の物語をきちんと描いていたからですよね。
父親を否定するようなこと、でも正しいこと、しようがないことを正面切って主張し、父親に殴られ、その後そんなことを言ってしまった自分に泣く糸子の姿は本当に切なかったなあ…そんなことを言わせてしまう父親も、また家族もみな悲しい。みんなで笑ってしまうくらいに大泣きしている姿が、とても愛おしく、切なく、悲しかった。この場面で、殴られたあとの糸子の頬にくっきりと手形が赤く残っていたのが印象的でした。

今週は小林薫演じるお父さんはずっと酔っぱらってばかりで、そんな父親を見ているのが少し辛かったのだけれども、でも今日、土曜日まで来て、そうだ、自分の老いを認め、時代が去ってゆくことを認めるのは、なんてエネルギーのいる作業なんだろうと気づかされ、今週ずっと辛かった分、余計泣かされました。