カーネーション3

カーネーション「隠し切れない恋」

明日の月曜日からは、たぶん周防さんの出番はないのですよね。

実在の人物のモデルがいるからなのか、「カーネーション」は、私が知る限り、朝ドラの歴史上もっとも容赦のない展開の作品だなあと思います。それが、あるときは小気味よかったりもするのだけれども、あるときはリアルに心を刺されて、とんでもなく乱されます。

周防さんとの関係は、見ていて辛かった。なぜ辛いのだろうと考えていたのだけれども、周防さんというキャラクターが、わたしにはとてもリアルに「女を寄せつける駄目な男」に見えてしまって、「素敵」とは思えなかったからかも。
周防さんという人は、男だとか女であるとかではなく、ただひとりの人間として目の前にいる人を見ることができる男性なんじゃないだろうか。だからこそ、糸子の作る洋服に惹かれ、糸子を尊敬し、好きになった。そういう周防さんだからこそ、糸子も惹かれずにはいられなかったのだろう。その行程まではよかったのだけれども。ほっしゃんの店で二人きりで仕事をしているときの、糸子との実際的な身体の距離の近さ、そして「小原さんがいると知ったから、自分もここで仕事がしたいと思った」と素直にしゃべってしまう無防備さ。うわあ、これはやり手だなあ…て、なんとなく思い、萎えてしまった。
糸子に「好きでした」と告白され「自分も好きだった」と言ってしまうところ、それなのに妻のことは背負っていかなければならないと思っていると糸子に人づてに聞かせるところ(まあ、これは、本人の意思じゃないにしても)。その上で「雇ってほしい」と追い込むこと。噂がたったときに、自分から辞めようとするのではなく「辞めましょうか」と糸子に聞くところ。
ひとつひとつの行動に嘘はないのだろう。真剣なのだろう。真剣に好きになり、相手のことを思いやっているのだろう。それ故に女の人をとても引きつけるのだろう。でもあんまりにも、さりげなく上手に、いろいろなことの責任から逃れすぎているのじゃないかなあと。決断は全部糸子にさせている。


そういう周防さんに対して、きちんと好きになり、愛情と尊敬を捧げできる限りのことはして、でも結局は不毛なのだと決断して前に進む糸子のなんという女っぷりの良さ。

尾野真千子さんは、パーマのスタイルがとてもお似合いで、綺麗。赤い口紅も粋だ。今までの朝ドラで、主人公が後年パーマをあてだして素敵だった試しがないように思うのだけれども。