思ったこと

なんとなく、ひとは老境に至るにしたがって、どんどん円熟味を増していくのだと、長らくそういうふうに信じていたかもしれないと思う。どんどん大団円に近づいていくのだと。そうじゃない例もいくらだって見聞きしているのにもかかわらず、でも結局、幸せな晩年というものを、努力すれば獲得できるのではないかと夢見ていた。
お年寄りたちの死に際が辛いものであってほしくない、長く頑張って生きてきて、さいごに苦しいのは嫌だ、必要以上の苦しみは間違っていると思っていたような気がする。


亡くなった新藤兼人監督の記事を読んでいたら、老いの本質を「猛執、欲望、後悔でいらだつばかり。死に近づく恐怖や社会から疎んじられている悔しさが渦巻いている」と説いていた、とあり、衝撃を受けた。


ああ。ちょっとだけ、目から鱗が落ちた思い。死ぬまで 戦い なんだな。老いてゆくこと、死んでゆくことが苦しいのだとしたら、ひとは生きることで、それを受け入れていくための強さと賢さを身につけ、戦ってゆくってことなのかもなあって、思った。のを、メモ。

カーネーション』で描いていたことも、こういうことだよなあ。としみじみ振り返る。