ナタリーの記事読みました。

というわけで、PV付きのCDがアマゾンから届き、PVは毎晩寝るまえに一度は見ています。
きちんと一曲まるごと聞くことができたので、ナタリーの記事も読んでみました。(まずは自分でちゃんと歌を聴いたあとに読みたいと思っていたので…)


セクシーハニーバニーが出たとき、さいしょの坂本君の「セクシー」が素晴らしくて、V6はずっとこの路線で行けばいいのになと思っていました。もうここまでのベテランのグループで認知もしてもらっていて、だけど一方で世間的には「ジャニーズの中ではもう、ちょっと古くなってしまった、垢抜けないグループ」っていう印象があるのは否めないんじゃないかなあと思っていて、そういうV6が、ふつうにいい曲、ふつうにかっこいい曲、ふつうに感動するような曲(たとえば今大人気の、大人数ダンス& ボーカルユニットが歌うような感じの…←悪意のこもった発言です。すみません…)でヒットをとばすってことは、もはやちょっと想像するのが難しいなあと思って、だったら、なにかもっと、なんていうかV6にしかできないことを突き詰めていってほしいなあと思っていました。ベストセラーになることを目指すよりも、「あ、なんかおもしろいことをやっているな、このグループ」って、なんとなくでも意識されるグループになってほしいなあって。そのヒントが、坂本君の「セクシー」にあるような気がしたんですよね。


あの「セクシー」を、あんなに面白くかっこよく言えるひとって、なかなかいないと思うんです。私自身に坂本君の情報がある程度入っているから、だから、必要以上にあの「セクシー」が面白く感じちゃうのかもしれないけど…でも坂本君の持ち味である、ミュージカル的やりすぎ感が、どうしてもちょっと、本当にちょっと、面白く見えちゃうんですよね。まあもともと「セクシー」なんてかけ声は、日本人にとっては難易度の高い言葉だと思うんだけど…でも坂本君は、見事なまでに「おもしろ」と「かっこいい」とを融合させて、尚かつ非常にスタイリッシュに「おもしろかっこいい」を成立させてしまっていると思ったんですよ…(本人は面白いなんて思っていないと思うんだけど…でもだからこそ、素晴らしいんだと思います…)



坂本君の「おもしろかっこいい」が成立するのは、当然のことだけど、他の5人の存在があってこそのことです。カリスマ性でV6をひっぱる森田君がいてこそ、なにをやっても「かっこいい」からはずれることがないし、エモーショナルな憂いを帯びたいのっちの存在は色気を放つし、どんなに軽いものを演じてもそこに長野君がいることである種の重みが加わってふわふわ飛んで行ってしまわないし、グループにいつまでも少年の日の輝きを添える三宅君、岡田君はそのあまりにハンサムな顔でV6に古びることのないある種のオーソドックスさと深みを与えていると私は思っているんだけど、メンバー全員でつくりだすその懐の深さがあってこそ、そしてまた重要なことに、6人がアイドルであるという一種の不自由な枠組みをもってこそ、あの「セクシー」は、面白い、だのに、非常にキャッチーでスタイリッシュでかっこよくあったのでしょう。


「セクシーハニーバニー」の次に発売された「バリバリバディ」は、路線がちょっと違って、そんな意味では当時は軽くがっかりしたのですが、でももっとわかりやすい何かを仕掛けて来たんだな、ひとつのイメージに捕われず冒険し続けたいと思っているんだなと思いました。それが対世間として成功しているのかどうかは私には判断がつかなかったけれども、とはいえ思い切りよくはじけたすごく楽しい曲で、ここでもわりと私は、坂本君のしゃかりき感に目を奪われてしまいました。最終的には評判がとてもよかったみたいな話をあとで聞いて、ああ、今V6はすごくいい感じなんだろうなあと思いました。


そこへきて満を持しての「キープオン」は、「面白い」と「かっこいい」と「明らかに仕掛けたいと思っているなにか」が、V6の個性の中に見事に花開いた大作でした。


DVDの中で坂本君が自ら「なにか仕掛けていかないと」と語っているのを聞いて、ああ、V6のことはV6がいちばんわかっているんだな(DVDで森田君も言っていたけど)ってしみじみ感じて、あれこれ考えていた自分が恥ずかしくなりました。
ファンが心配しているようなことは、本人たちはみんなわかっているんですよね。わかった上で、より良いなにかを探そうとしてもがいているんですよね。より良いなにか、自分たちならではの、自分たちが自分たちらしく輝ける何かをさがすことって、本当に難しいことだと思う。自然体でいてそれがそのまま表現になることって、それがいとも簡単にできてしまう天才も世の中にはいると思うけれども、でもそれって本当に本当に一握りで、それ以外のひとたちにとっては、ましてやグループにおいては、グループとして自然体でいること、そしてグループとして自由とは何かを知ることって、経験や実積や迷いや挫折の末に得たたくさんの裏付けがあって初めて成立することだと思う。


ナタリーにV6の記事が載っていることを私が最初に知ったのは、普段から毎日チェックしている、V6とはなんの関係もない、テレビについての記事が書かれているブログでです。そのブログの管理人さんが、自身のツイッターで、ナタリーで初のジャニーズ特集!ジャケ掲載も公式許諾!について「すげーなナタリー」とつぶやいているのを見たのが最初です。幾分「お笑い+サブカル」に偏ったブログで、おそらく今までV6について書かれたことはないと思うのですが、こんなところで注目をされるとは…と、軽くびっくりしました。


これまでのV6の歴史やいろいろな思いが集結して今回「キープオン」という曲が出来上がったけれども、ここはほぼスタート地点(何度目かの)なんじゃないかなと思いました。
ここまで長くやってきたことを通して、6人は自由を、というか、自由になる術をどんどん獲得してきていて、それが見えるかたちでファン以外のところへも、ほんのすこしずつかもしれないけど、届くようになってきているのかもしれないなと思って。6人がそれぞれ、17年?の芸能活動を通して成長してきたこと、そこで得たもの全てが、曲作りに関わることを骨格から支えることができるようになってきたこと、それが目に見えるかたちとなってきたこと、いろいろなことが実になって結び始めたんだろうなあと。でも楽しみなのは、このあとの展開です。ジャニーズのアイドルだからこそできる素敵な、円熟したなにかを、V6は(V6も、かな?)切り開いていってくれるんじゃないかなあと、期待せずにはいられません。自由を取り扱う方法を得た彼らが、これからもっとおもしろいものを見せていってくれるんじゃないかな、と。