キーポン盤

特典DVDが面白かったです。思わず長々とした感想を、偉そうに書いてしまいました…

森田君の描いたカンガルーのTシャツ、ほんとうに作ってほしいな。20年くらい昔、バルセロナオリンピックキャラクターの、懐かしのコビーにちょっと似てる…いや、似てないか。


絵が上手なひとっていうのは目の記憶がいいひとだってよく言われていて、そういうひとって普段からものをよく見ているのだというけれども。確かにそうなのかもなと思うんだけど、でも現代人について言えば、ものをよく見ているというよりも先に、その もの をシンボリックに表現したもの についての知識が豊富なひとほど、上手に絵を描くひきだしが多いって側面があるかなと思う。なにかをデフォルメして描いたものが出回れば出回るほど、そのなにかを上手に描くことができるひとは増える。猫や犬を誰でもわりに上手に描けるのは、猫や犬が身近な動物だからっていう理由のほかに、猫や犬のイラストが世の中にはたくさん出回っているからってこともあるんじゃないかなと思ってしまうのだ。織田裕二の真似をするものまね芸人の出現によって、織田裕二のものまねをするのが上手な素人が増えるのと同じような構造だと思うんだけれども。 


20秒で慌てて描いた絵じゃ伝わる情報はあんまりにも少なすぎるとはいえ、それぞれ人柄が垣間みられて面白かったです。


坂本君の絵は、上手だけど、あんまり本人の思考は伝わらない。経験と技術で理論武装している絵だなと思う。くじらの絵やペンギンの絵を上手にさらさらっと描くけど、既に誰かの手によってシンボリック化されたくじらやペンギンを上手に再現しているだけ ともいえる。ただ、そういった記憶のストックの豊富さを感じさせられるし、再現する技術と勘に優れているらしいのが伺われ、坂本君て本当に、芸術的な才能に恵まれたひとなんだなと思う。なんだけど、坂本君の絵はどれも微妙にファンシーでメルヘンなのが、ちょっと面白いです。80年代って感じがする…
坂本君の芸術的センスの良さと、だけどなんとなく感性が80年代…ってところが感じられて、総合してみればとてもチャーミング。


坂本君の絵に比べて、森田君の描く絵は滅茶苦茶だけど、彼がなにを考えているのかちょっと伝わってくる絵だなと思う。特にくじらは、「くじらといえば、大きな身体と潮吹きでしょ」と、外からの情報にあまり捕われずに、自分が思い描くことができるリアルなくじら だけを表現しようとしている?らしいところがおもしろい。大きくもりもりとした身体の描き方とか独創的な気が。もっと面白いのはカンガルーで、「なんとなく顔が長くて、ポケットがある」としか思いつかなかったみたい。だけど、それを、というかそれだけを、かなり直接的に描いて、あとはでっちあげてしまっている。ラッパにしても、多分森田君にとってはラッパの本質って「音を奏でるもの。開いている部分があって、音を調節するところがあって、あとどっか曲がっていた(この曲がっているのって、取っ手のところかなと思うんだけど…)」ってことだけなのかなって思うんだけど、その自分にとっての本質をひどくダイレクトに描いてあとはでっちあげ。ライオンについては「強そうでたてがみがある」。でも、どれも表現がおおらかで、悪びれていないところがいいなあと思いますです。


長野君の絵の面白さはそれとは全然違って、とにかく絵が小さくて、線も弱々しくて、ひとを不安にさせるところがいいです。V6の中では一番精神的に安定していて健全そうに見える長野くんだけど、この絵の弱々しげな感じはどうしたことだろう。よっぽど絵に自信がないのかな。でも優しそうだけど、ブラックな面も人一倍強い長野君だからな。その複雑な深層心理がちょっと垣間みられる気もします。あと、長野君の絵は、ある種の実感がこもってますよね。すぐに点々を描きたがるところとか、動物の野性的なところを表現したい傾向がなんとなくあるんじゃないかなと思って。長野君の描いた動物は、形は変だけど、きれいごとじゃなくて、どいつもみんな糞をしそうで臭そうな感じがあるのがいいなあと思います。


岡田君の絵は、ナタリーの記事で郷太さんとコリンさんが言ってたけど、立ち位置を考えているひとの絵だなあと思います。順番が真ん中だから必然かもしれないけど、前のひとから受け取った情報を忠実に、また整理するべきところは整理して次へ渡すことのみを考えている人の絵です。生真面目です。ただ、らくだの描き方にセンスが感じられるので(全編通して、今回一番いいと思ったのが、個人的には、岡田君のらくだの絵)器用さも垣間みられます。


三宅君の絵は、6人の中で一番とらえどころがないなあと思いました。わたしがこのDVDの中で一番酷いと思ったのは、実は三宅くんのらくだの絵なんだけど。あれじゃ生姜だ。いくら時間が無かったからって…。いのっちがさかんに、「途中まで丁寧に描くんだけど時間が無くなっちゃう」から健の絵は意味がわからなくなる…と言ってたけど、おそらくそういうことなんでしょうね。不器用ってことなのかな…
描きなれている…とまでは言わなくても、比較的馴染みのあるライオンなんかは、上手に、しかもオリジナリティーのある感じの絵をさらさらと描いていたので、らくだも、その気になれば上手に描けそう。なにをやるにもベストを求めすぎて自滅するタイプなのかなと思った。


いのはらくんの絵は、なんかとにかく可愛かった。6人の中で一番可愛い絵を描いてました。目がつぶらで、自分に似てる。で、フォークなテイスト。何を描いても自分に似すぎてしまうのは、ナルシストってこと?と思いました。


あと、全員に言えることだけど、もっと適当でもいいのにと思って。何気に全員が、ちゃんと次のひとへ情報をまわすことにすごく気を配っている。真面目なひとたちだなと思いました。