前田昌良さんの画文集『星を運ぶ舟』

「気持ちのよりどころにしている」っていうよりも更にもう一歩すすんで、頼っている、もしくは依存しているんだってことに、ふいに気づいた。ただ「友人である」ってだけの関係に、気持ちが必要以上に甘えているんだと。「戻っていい場所」なんだと思ってた。

誰でもひとりなんだしね。自信がないことも手探りであることも、受け入れなくちゃいけない。知らない場所を歩くということは常に不安定で、でも無数に来る明日は全て知らない場所なわけだから。



「綱の太さは様々でも多くの人は綱渡りのように一生を送ります。」
       


前田昌良さんのこの言葉は、普段の自分だったらそんなに心に残らなかったかもしれない。1年以上も前に買った本、写真は見ても、読まずに積んであったのをふいに手にとり開いたページから、目に飛び込んできた。不安定にゆらゆらと、懸命にバランスをとりながら静かに静かに立つ綱渡りのおもちゃの横に添えられた文章の中にありました。

行きつ戻りつ、言葉にならないようななにかを、言葉を捜しながらぽつぽつと語る前田さんの文章。形にならないことが大事だけど、でも形になってしまったものには、きっとそこにもまた、形にならないなにか別の(あるいはもっと深く、あるいはもっと広い)意味がたたずんでいる。世界って、なんて広いのだろう。辛いこと悲しいこと、醜い気持ちも閉じ込めた悪意も、一片のロマンに乗せて、美しい夢を見ながら生きていたい。


この本の好きなところは、写真の大きさと文章の量が気持ちにちょうどしっくりくるところ。もしかしたら、ここに映ってる絵やおもちゃを実際に生で目にしてしまったら、この本はすこしものたりなく感じるのかもしれない。でも、今のわたしにとっては、ちょうどの大きさ。





ふいに思い出してメモ。
一ヶ月くらい前に見たタモリ倶楽部
「役に立たない機械」品評会……部屋の明かり確認機(箱を開けると中の電灯が点灯する)