見たものなど

ピカルの定理に坂本君。
「それ、汐留のほうですよ」って訂正する(つっこむ)テンションがあまり高くなくて、それがすごくかっこよかった。


十三人の刺客
稲垣君が素敵だった!残虐な、とても残虐な人でなしのお殿様なんだけど、これはアイドルである稲垣君が演じたからこそ輝いた役ですよね。いや、アイドルだからっていうより、単にそれが稲垣君の持ち味なのかもしれないけど、常に地に足がついていないふうというか、どこにいても浮いているというか馴染んでいないというか、心ここにあらずに見えてしまうようなふわふわとした個性が、演じていた松平斉韶という人間の残虐性に妙な説得力を与えていたし、だけどその彼がほほえむと、そこに花が咲いたような妖艶な華やかさが広がるのにとても心をつかまれてしまって。ものすごく憎らしいのにとても魅力的な悪役でした。
…今の岡田君にはこういう役はこなさそうだし、本人的には苦手そうな気もしないでもないけど…でもこういう役を演じる岡田君が見てみたいなあ…



中村好文『小屋へおいでよ』展



ガリット・ランダウ展『ウルの牡山羊』
インスタレーションふたつ。面白かった。けど、これ、何だろう?

『Out in the Thicket(茂みの中へ)』
オリーブの収穫。機械に揺さぶられて、まるで気が狂ったようにのたうちまわるオリーブの木。痛い。痛い。怖い。
『Behold the Fire and the Wood(火と薪はあります。)』
1950年代のイスラエルの家庭。聞こえてくる4人の女性の話し声。瓶に詰められた、さまざまな保存食(のようなもの)は、知らない者が見るとちょっと気味悪い。食べたあとのお皿で汚れている流し。蛇口からはときおりしずくが滴り落ちる。誰もいない居間のテレビから流れる音楽。ソファの下には墓石らしきもの(写真で作ったオブジェ?)壁にかかった絵。後ろから見ると刺繍の文字が浮かび上がる。10代で自ら命をたった伯父の手記。重い扉。


個人であり、国であり、土地そのものであり、歴史でもあってそれがそのまま生きていることなんだけど、まとめられない何か、だけどどうしようもなく心の中の何かを揺さぶられて、痛いし重いし気味悪いし怖いし、だけど暖かくも可愛らしくも楽しくもあり、なんだかよくわからないんだけど、でも面白かった。とてもとても個人的で、だからこそそれは世界に向かって開かれているのかも。